「ル・サンク小石川後楽園」訴訟


最高裁が事業主側の上告を棄却!

小石川2丁目の「ル・サンク小石川後楽園」を巡る建築紛争は、事業主側のNIPPOと神鋼不動産による最高裁への上告が棄却され1審、2審の判決が確定することになりました。(16日付、最高裁第3小法廷)

 

この件については、SNSなどで様々なな感想やコメント、つぶやき等が出ているようですが、みんなでみんなのまちづくりの代表として考えるのは以下のことです。

 

①今回の最高裁の判決を以てこれで終わりでは決してないということ。(※私たちはここから始まる様々な問題についても引き続き真剣に考えていかねばなりません)

 

②重要なのは、この最高裁の判決から何を学ぶかという点であって、そこから学んだ「教訓」を「国・東京都・文京区」「事業者」「住民(国民であり都民であり区民)」が共有していかねばならないということ。

 

その他にも色々なポイントがあるかと思いますが、大きく分ければ、この2点に集約されるのではないかと私は考えています。

 

これらのテーマについては改めてじっくりと考えたいと思っていますが、今、改めて思い浮かべるのは16年前に出版された1冊の書物です。

 

「マンション・建築紛争解決ノウハウ 徹底抗戦・増補版」(根来冬二著)--。

 

「ル・サンク小石川後楽園」を巡る地元区民の方々の勝利は、まさにこの本で指摘されている「住民側、闘いの基本」と「考え方の基本」そのままであったことにその勝因があったように私には思えるのです。

 

そこにはこう書いてあります。

 

◆住民側、闘いの基本◆
 一、頑張りこそが勝敗を決する
 二、戦略こそが勝敗を決する

 

◆考え方の基本◆
 一、自分たちのためだけではない、町を守るためである。
 二、法より以前に、人々にとって最も基本となるモラルを守る闘いである。

 

もちろん、人によっては異論もあるかもしれませんが、特に「考え方の基本」は当事者以外の第三者(私も含めて)においても、しっかり認識しておかねばならない大切な視点であると思っています。
(2019年8月22日) 


NIPPOによる新たな訴訟は文京区民にさらなる苦痛と負担を強いる

”塩漬けマンション”と言われる小石川2丁目の「ル・サンク小石川後楽園」を巡る問題で、事業主の1社であるNIPPOが東京都を相手取り、損害賠償請求訴訟を起こしました。

 

※同社による「訴訟提起のお知らせ」はこちら→https://www.nippo-c.co.jp/company/company_info_image/20190509.pdf

 

ちなみに同社らは、東京都建築審査会による2015 年11 月2 日付の「変更確認処分」の「取消裁決」について、この「取消裁決」の取り消しを求めて行政訴訟を提起し、現在、最高裁に上告しています。

 

※簡単な裁判の経緯
 ①東京都建築審査会が2015年11月2日付で「建築確認」を取り消す裁決
 ②東京地裁が2018年5月24日、建築確認取消を認める判決
 ③東京高裁が2018年12月19日、建築主(NIPPO/神鋼不動産)の控訴を棄却する判決

詳しくは「小石川二丁目マンションの無秩序な開発・建築を考える」→http://koishikawa2.mansion.michikusa.jp/

 

つまり、NIPPOは、行政訴訟に加えて民事で損害賠償請求を申し立てたということになります。

 

被告側は、東京都(=東京都建築審査会)であるわけですが、文京区民の”目線”で見れば、今回の訴訟が意味することはあまりに明らかでしょう。

 

長年にわたり闘い続けてきた文京区民に、さらなる苦痛と負担を強いることです。

 

NIPPOらが2003年秋に競争入札で土地を購入してから15年余り--。

 

民事訴訟でも争うとなれば、どこかで和解が成立しない限り、高裁・最高裁へと続く懸念があります。

 

NIPPOにとっては「資本の論理」があるのかもしれませんが、一部のステークホルダーだけにバイアスのかかった「資本の論理」は、度を超えた「資本の論理」として批判を受けることも確かではないでしょうか。

(2019年5月10日)